昨年ご結婚された小室眞子さま(秋篠宮家のご長女)が、バッシングが原因で複雑性心的外傷後ストレス障害(複雑性PTSD)という精神疾患を患っているという報道がありました。ここで話題になった「PTSD」についてまとめてみました。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、トラウマになる圧倒的な出来事(外傷的出来事)を経験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応です。
MSDマニュアル 家庭版 参照
トラウマになる圧倒的な出来事とは、生死にかかわるような身の危険に遭遇したり、他者が死傷を負うような場面を目撃したりして、強い恐怖を感じるようなことと言われています。そして、そのトラウマが何度も繰り返し思い出されて恐怖を感じ続けてしまうようです。
PTSDの症状はどんなものがあるの?
PTSDの症状は大きく分けて4つあります。
①侵入症状
トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇ってきたり、悪夢として反復する。また、思い出したときに気持ちが動揺したり、動悸や発汗を伴う。
②回避症状
出来事に関して思い出したり考えたりすることを極力避けようとしたり、思い出させる人物、事物、状況や会話を回避する。
③認知と気分が陰性
否定的な認知、興味や関心の喪失、周囲との疎隔感や孤立感を感じ、陽性の感情(幸福、愛情など)がもてなくなる。
④覚醒度と反応性の変化
イライラ感、無謀または自己破壊的行動、過剰な警戒心、ちょっとした刺激にもひどくビクッとするような驚愕反応、集中困難、睡眠障害がみられる。
このような症状がトラウマとなった出来事に遭遇した直後から起こる事もありますし、数か月・数年後に突然起こる事もあるようです。
PTSDの症状が重くなると、自傷行為におよんでしまったり、引きこもってしまう場合があるので、注意が必要です。
PTSDを発見するにはどうすればいいの?
PTSDかどうかを見極めるには、まず、思考や行動などをきちんと把握することが必要です。その例をいくつかご紹介しますね。
■ 突然つらい記憶がよみがえることがある
事故や事件、災害のことなど、すっかり忘れたつもりでいても、ふとした瞬間につらい体験の時に味わった感情がよみがえります。それは、心の中で恐怖だけではなく、苦痛や怒り、哀しみなどの様々な感情を含みます。
また、同じ悪夢を繰り返し見ることもPTSDの症状と言えます。
■ 常に神経が張りつめている
つらい記憶がよみがえっていない時でも緊張が続き、常にイライラしている状況が続きます。また、神経が張りつめているため、警戒心が極端に強くなったり、ささいなことで驚きやすかったりします。例えば、テレビの中の爆発音や隣に座っている人のくしゃみの音など、人によって様々です。
■ 記憶を呼び起こす状況や場面を避ける
つらい記憶を呼び起こすきっかけになるような場所や行動を避けるようになります。しかし、PTSDを発症した方の中には、本人も意識していないうちに避けていることが多いようです。その結果、行動が制限されて通常の日常生活や社会生活を送ることが難しくなることも少なくありません。
■ 感覚が麻痺する
つらい記憶に苦しむことを避けるために感覚が麻痺することがあります。家族や友人に対する愛情や優しさが持てなくなり、人に心を許すことが難しくなります。
人は、事故や事件などのつらい状況におかれると、上記のような防衛反応が出るのは当たり前のことです。しかし、それが1カ月~数カ月以上続く場合や悪化する傾向がみられたら、PTSDの可能性を考えて専門医に相談してみてください。
PTSDを和らげるためには?
PTSDは、専門医の指導のもとで投薬治療と精神療法を行うことが一番です。ですが、それ以外でも自分でできることや、周りに協力してもらって改善に近づける方法もあります。
①栄養バランスの良い食事をする
栄養は人の身体にとって無くてはならないものです。逆に栄養をおろそかにしてしまうと、体力や気力が落ちるだけでなく、思考能力も低下します。物事を考えたり判断したりする能力が欠けるため、精神的に不安定になったり、嫌な記憶ばかりを繰り返し思い出してしまうような現象を誘発しがちです。
②良質な睡眠をとる
人間は寝ている間に体力を回復させ、思考を整理します。そのため、睡眠時間が短いとエネルギーの充電ができないため、体力が低下したり、日中の思考能力が低下します。また、人間は日中の呼吸よりも睡眠時の呼吸の方が深いため、寝室の空気の良さが良質な睡眠を得る鍵でもあります。もし、寝室がカビや湿気が多い場所もしくは埃っぽい場所であるならば、まずは空気の入れ替えや空気清浄機の設置をおすすめします。
③思考の反芻を客観的にみる
トラウマを思い出すとつらい記憶がよみがえり、嫌な感情が出てきます。そんな時、自分の思考を俯瞰してみることで、自分がどんな気持ちなのかを整理することができます。
例えば、トラウマを思い出した時に心の中で以下のように唱えてみるのです。
「また、トラウマを思い出しているな。」
「どんな感情かな。どんな風景かな。どんな気持ちかな」
自分自身に自分でどのような気持ちかを問うことで、自分の気持ちを客観的に知ることができますし、悲観的な気持ちを遮ることができるのです。
まとめ
PTSDは複雑な病であり、子供から老人まで、誰がいつなってもおかしくない病気です。だからこそ、病気をよく知り、きちんと治療していくことが大切です。専門医の指導のもとPTSDを治療しながら、以上にあげた自分でできることも、参考にしてみてはいかがでしょうか。
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